資産が動き出した!その「ドキドキ」とどう向き合うか
第1章もいよいよ佳境です。これまでに、証券口座を開設し、新NISAの設定を行い、初めて買う株を探して、実際に1株を購入しました。そして、購入後のアプリ画面で自分の保有株を確認し、配当や株主優待といった株主ならではのお楽しみについても学びました。
初めて株を購入し、資産が市場の動きに合わせて日々変動するようになりました。評価額が上がって「含み益」になったり、下がって「含み損」になったり…。特に初めて含み損を見たときは、少し不安になったり、どうすれば良いか分からなくなったりすることもあるかもしれません。
この課では、株式投資で誰もが経験する「含み益」や「含み損」とどう向き合い、心の平穏を保ちながら投資を続けるための考え方や具体的なヒントを解説します。市場の変動に一喜一憂せず、冷静に対応するための心構えを身につけましょう。
含み益・含み損とは?
第5課でも触れましたが、ここで改めて「含み益」と「含み損」の基本的な意味を確認しておきましょう。
- 含み益(ふくみえき):購入した株の「現在の株価」が、「購入した時の価格(平均取得単価)」よりも上昇し、評価損益額がプラスになっている状態です。
- 含み損(ふくみぞん):購入した株の「現在の株価」が、「購入した時の価格(平均取得単価)」よりも下落し、評価損益額がマイナスになっている状態です。
これらは、まだ実際に株を売却していない段階での資産の評価上の損益です。つまり、株価がいくら変動しても、売却するまではその損益は「未確定」であり、あなたが最終的にいくら儲かるか、あるいは損をするかは決まらないのです。
含み益・含み損は、市場経済が常に変動している以上、どんな銘柄でも発生する当たり前の状態です。大切なのは、この変動そのものに過剰に反応せず、冷静に状況を見守る姿勢です。
含み益が出たらどう考える?
株を購入して、画面を見た時に評価損益がプラスになっている!これが含み益です。初めて含み益を見ると、嬉しくなって「もっと増えないかな」と思ったり、「今すぐに売って利益を確定した方が良いのかな?」と迷ったりするかもしれません。
含み益は、投資が順調に進んでいるサインであり、もちろん喜ばしいことですが、注意点があります。
- まだ確定していない:先ほども述べた通り、含み益はあくまで現時点での評価額に基づいたものです。売却するまでは、それが手に入る利益として確定するわけではありません。市場の状況によっては、この後株価が下落し、含み益が減ったり、含み損に転じたりする可能性もあります。
- 利益確定のタイミング:含み益が出た時に、いつ売却して利益を確定するかは、投資家それぞれの戦略によります。短期的に利益を狙うなら、目標の利益が出たら売却する「利確(りかく)」を検討します。しかし、長期で保有して企業の成長や配当・優待のメリットを享受したい場合は、多少の株価変動では売却しないという選択肢もあります。利益確定の考え方や具体的な方法は、今後の課で扱います。
含み益が出た時も、一時的な感情に流されず、「なぜその株を買ったのか」という当初の投資理由を思い出すことが大切です。
含み損が出たらどう考える?
含み損は、誰にとっても最も避けたいと感じる状態かもしれません。株価が下落し、購入した金額よりも評価額が下がっているのを見ると、不安になったり、「もっと下がったらどうしよう」と焦ってすぐに売ってしまいたくなる(狼狽売り)衝動に駆られることもあります。
しかし、ここが初心者にとって最も重要な踏ん張りどころです。
- 市場の変動は自然なこと:株価は、企業の業績、経済全体の状況、世界のニュース、投資家の心理など、様々な要因で常に変動しています。一時的に株価が下落するのは、むしろ自然なことです。
- 売却するまで損失は確定しない:含み損の状態であっても、実際に株を売却しない限り、損失は確定しません。株価が再び上昇すれば、含み損は解消され、含み益に転じる可能性もあります。
- 損切りの考え方:ただし、全ての含み損を放置して良いわけではありません。購入時の投資理由が崩れた(企業の業績が明らかに悪化した、不祥事が起きたなど)場合や、これ以上損失を広げたくない場合に、意図的に株を売却して損失を確定することを「損切り(そんぎり)」と言います。損切りは、さらなる大きな損失を防ぐための重要な戦略ですが、これも感情的ではなく、あらかじめ決めたルールに基づいて行うのが望ましいです。損切りの考え方や方法は、今後の課で扱います。
含み損を見ても、すぐに売却を判断するのではなく、まずは「なぜ株価が下がっているのか?」を冷静に考えてみることが大切です。
含み益・含み損に一喜一憂しないための心構えと対策
市場の変動による含み益・含み損に感情的に振り回されないためには、いくつかの心構えと具体的な対策が有効です。
- 長期投資の視点を持つ:株式投資、特に初心者にとって、企業の長期的な成長に期待して株を長く保有する(長期投資)は、株価の短期的な変動の影響を受けにくくする有効な戦略です。短期的な値動きは小さくても、数年、数十年といった長い目で見れば、企業の価値向上に伴って株価も上昇していく可能性が高まります。コーヒーブレイク②「複利の力と時間の価値」、コーヒーブレイク④「長期投資と短期売買、どっちがいいの?」でも触れるように、長期投資は複利の効果も期待でき、初心者には特におすすめのスタイルです。
- 購入時の投資理由を忘れない:「なぜこの会社の株を買おうと思ったのか?」という、その企業に投資した理由をしっかりと覚えておきましょう。株価が下がっても、その理由(例:「将来性のある事業だ」「安定した配当を出している」「自分が応援したい企業だ」など)が揺るがないのであれば、一時的な含み損は問題ない、と割り切ることができます。
- 分散投資でリスクを軽減する:一つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄や、異なる業種・地域の資産に投資する(分散投資)ことで、特定企業の株価急落による影響を小さくすることができます。例えば、今後扱う投資信託やETFは、最初から多くの銘柄に分散投資できる仕組みになっています。
- 日々の株価を頻繁に見すぎない:特に投資を始めたばかりの頃は、ついつい株価が気になって、1日に何度もアプリを開いてしまうかもしれません。しかし、数分や数時間単位の株価変動は予測が難しく、頻繁に見すぎるとそのたびに感情が揺さぶられてしまいます。1日に1回、あるいは数日に1回程度チェックするくらいのスタンスが、精神的な安定につながります。
- 企業のニュースや業績を確認する:株価は短期的な要因でも動きますが、中長期的には企業の業績に連動する傾向があります。含み損が出た時こそ、株価の数字だけでなく、保有している会社のニュースや決算発表などを確認し、企業そのものに問題がないかを冷静に判断することが重要です。
【実録】購入後2週間の「含み損」と「含み益」
さて、6/30に買った1株はどうなっているのでしょうか…。

はい、ぎりぎりプラスですが、勝手からしばらくは「含み損」の状態でした。1株なので金額的にはどうってことありませんが、これが100株、1000株だったとしても基本的に同じルールが適用されるわけです。1株でできないことは1000株でもできません。しっかり向き合っていくことが重要ですね。
これから下がる場面もあるかもしれませんが、企業がしっかり成長すれば株価も上昇することが期待できます。あわてて「損切り」していたらその後の大きな含み益(最終的には確定利益)を得ることはできません。
「株価の一時的な変動に動揺せず、購入時の投資理由と企業の状況をしっかり見ることが大切」。もちろん、全ての含み損が回復するわけではありませんが、焦らず、まずは立ち止まって考える習慣が身につけましょう。
成功者は言います「成功する秘訣?それは諦めないことだよ」。花が咲くまで気絶していればいいんです。
含み益・含み損は避けて通れない道、冷静に向き合おう
- 株を購入すると、市場の変動によって「含み益」や「含み損」が発生します。これらは売却するまで未確定の損益です。
- 含み益が出ても喜びすぎず、含み損が出ても焦りすぎない冷静な心構えが大切です。
- 長期投資の視点を持つこと、購入時の投資理由を忘れないこと、分散投資をすること、頻繁な株価チェックを避けること、企業のニュースや業績を確認することなどが、感情的に流されないための対策です。
- 含み益・含み損との向き合い方を学ぶことは、株式投資を長く続ける上で非常に重要です。
これで、株価変動のリアリティと、それに対する心の準備、そして具体的な対策について学ぶことができました。
次回は、この第1章全体の投資を総括し、購入した銘柄とその結果をまとめて振り返ります。それは「投資経験」を言語化し、今後に繋げるための重要なステップです。お楽しみに!


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